今週の見方【9月22日】
今回のFOMCでは1年半弱の利上げ期間、そして、約1年の据え置き期間を経て、ついに利下げへと舵を切った。利下げ幅は50bpsと経済を映した数字ではなかった。市場内は何度も25bpsでまとまった流れを、各委員が打ち消すように0.5bpsを強調していた。そこから最後に、市場コンセンサスは40%まで引き上がったという事である。
本来、50bpsは景気悪化時に実施されたことが多い大幅な数字。何故、前回パウエル議長は25bps下げなかったのかという気持ちは強くなる。FOMC後の記者会見で、「大幅利下げは遅れを取らないようにするためのコミットメント」と述べた。雇用環境の悪化を未然に防ぐための判断だったと説明。だとしたら尚更、春先から兆しは出ていたのだから判断基準を明確にすべきである。
今回のFOMCで50bpsの利下げを判断した一方、先行きに関しては大幅利下げの予想が少なくなっており、利下げ幅の判断に関しては多くの「心からの賛成」があったとは思えない。今回公表されたドットチャートをみると、2024年末の FF レートの中央値は4.4%と残り2回の FOMCで合計50bpsの利下げをしていくことが想定される。残り2回のFOMCで合計75bps以上の利下げ幅を想定しているFOMC参加者は1名のみと限定的。委員の中では相当な圧力か、意識の変化のが走ったと思われる。
失業率が上昇すれば大幅利下げの可能性は高まる。FOMC参加者による2024年末の失業率の予想中央値は4.4%となっている。8 月の失業率 4.2%から 0.2pt程度までの上昇であれば、利下げはあって当然であるし、失業予測と利下げ予測が嚙み合わない。50bpsの急ピッチな利下げは、0.3pt以上のような失業率の上昇が見られた時に使うべきだと思う。多分、春からインフレよりも雇用を気にしていた人も多いのだと思う。
そして、先日まで雇用を見ないでインフレばかり見ていたが、インフレ率が高止まりすれば、FOMCは利下げをしにくくなるはずである。FOMC参加者による2024年末のPCE価格指数の予想中央値は前年同期比+ 2.3%、コアPCE価格指数の予想中央値は同+2.6%となっている。つまり、その数字以上にインフレになる要因があると見ている人も多いから、ここでバラツキが出て来ているのだろう。家賃の値上がりが止まるから、そこまでは行かないと思が、判断基準が曖昧である。
だからトランプ氏はこの金利の下落を「恣意的」というのであろうが、今回の50bpsの根拠がいまいち説得不足と思われる。そういう流れで金利が下落した日は株価が伸びなかったし、材料出尽くしという解釈だった。逆に、ハリス相場とした19日のNY株は高すぎた。結果論で上がれば良いのかもしれないが、ここで業績相場になったら、日本株は少し不利にな得る気がする。自分はこの「不思議の上げ」がある間に逃げたいと思う。いまいち、ここ数日の動き方に違和感がある。この事は「買い要因がない」とした9月頭と同じ格好である。
今週の頭はハリス優勢で下がったのに、19日からハリス優勢で上がるなんて、自分には理解し難い市場だとみている。リバランスやクロスが多い後の月初は後半の運用スタート、配当環流リバランス買いと言われても済んだら怖いと思ってしまう。要注意の週である。