2月17日:今日の市場の見方
「日米首脳会談後の市場と今後の展望」
2月7日、石破首相とトランプ大統領による日米首脳会談が行われ、記者会見では「日米関係の新たな黄金時代」を追求する共同声明が発表された。主な議論内容は以下の通り:
○尖閣諸島に日米安保条約が適用されることを確認
○日本の対米投資を1兆ドル規模へ引き上げる方針
○米国から日本への液化天然ガス(LNG)輸出を拡大
特に、日本製鉄のUSスチール買収に関しては「過半数を超えない投資であれば容認」との言及があったが、日本製鉄側の意向とは異なる可能性があり、今後の動向に注意が必要。また、市場で懸念されていた日本への追加関税については会談で直接の言及がなかった ものの、その後、鉄鋼などに対する追加関税が発表されている。日本は除外を申し入れており、引き続き慎重に見守る必要がある。
今回の会談で日本が目標とした「対米投資1兆ドル」については、現状の流れを考えればそこまで高いハードルではない。日系企業はすでに収益の多くを現地で再投資している。
米国への証券投資が増加傾向にあること、また、目標達成の期限が明示されていない。こうした背景から、日本にとっても成果の多い会談だった と評価できる。
一方で、気になるのは日本国内の野党の動きだ。「今、対外投資をしている場合か?」という意見も出ているが、トランプ政権の外交スタイルを考えると、こうした対応は避けられない。また、日本企業が海外進出を進める中で、
外資系ユニオンと労働組合の連携による賃上げ圧力が強まったり、米国内での最低賃金引き上げによる影響といった問題が出てくる可能性がある。特に、日本企業に対して外資系労働組合が圧力をかける形になれば、日本国内の労働市場にも影響を及ぼしかねない。
現在の市場は、こうしたリスク要因があるものの、全体としては比較的順調な推移 を見せている。3月初旬と4月初旬の需給がスムーズにいけば、夏以降に市場の水準が変わる可能性も考えられる。その前にウクライナ問題が進展すれば、さらに市場の動きは加速するだろう。企業側は関税や人件費の上昇を踏まえ、価格転嫁を進めるために来期の業績予測を低めに設定する可能性が高い。そのため、業績に対する市場の期待値と実際の企業の見通しにズレが生じやすく、相場のボラティリティが高まる局面もありそうだ。BOX内の日経平均は少し高いレシオになっていることから、目先は難しいかと思う。