9月7日:今週の市場の見方

今週の見方

NY市場の乱高下で「材料出尽くし」と騒ぐ人が多いです。8月の雇用統計は悪かったのですが、そもそも現在は雇用統計に対する信頼性が落ちています。失業率にしても、8月という季節要因を考えれば想定通りで、むしろ良いほうではないかと思います。ただ、最近は悲観論が多く、新聞社の論点も雇用統計中心。特にリーマンショックと同じように語る人が目立ちますね。ただ、当時のリーマンショックはインフレではなくデフレが牽引した不景気で、いわゆる「物価安の中で企業が儲からない」という状況から失業率が悪化したものでした。

市場の現状と課題

当時も平均給与は下がらなかったんですよね。低額労働者の仕事が減った一方で、高額給与労働者は残っていたから、平均はむしろ上がった。だから本来は「家計所得」を見た方が良いのです。今回も、技術力の低い若手の解雇は増えている傾向はあるけれど、トランプ政策による移民系の追い出しから労働供給が減っている面が強い。そのうえで、景気悪化に備えて技術レベルの高い人材の囲い込みが進んでいる。結果として平均賃金は高く、家庭内収入も現状では良い。そして今回はインフレ基調。リーマンのときとは全然違う流れなんです。

今後の展望

だから今後は「家庭内の手取り」と「インフレ」の兼ね合いを見ていくことと、トランプ氏にはそろそろ内需に向かって欲しいところです。これ以上、関税でいちゃもんをつける流れになると、もう本当にへきへきしてきます。しかも裁判で関税は有利に進んでいない。もし本当に否定されることになれば、米国の財政は身動き取れなくなるし、海外からの米国への進出も止まってしまう。米国経済にとって相当な痛手になるでしょう。

そういう歪んだ経済を見なければならないのが現状です。つまり普通の経済要因ではなく、トランプ政策による動きだから、過去の事例とは重なりにくい。まずは「見るしかない」と思います。その動きがNY株の乱高下に出ていて、指数はアルゴに振り回されていても、実際の市場では好決算や材料といった「個別」の動きに変わってきています。日本と同じで全体像は見えにくいけど、企業には余剰資金が多くて、その行き場が株式市場になっています。良い方向へ向かわないと資金切れで調整幅が大きくなる。

最後に

まあ、今年の夏は本当に疲れますよね。これでまた選挙だの総理大臣だの言われても、正直頭が回らなくなる。面白いのは、野党支持者が石破総理を「辞める必要は無い」と盛り上げていること。日本人は本当に攪乱が好きなんだと思います。裏返せば、野党にとっては今の首相のままの方が勝ちやすい、という計算なんでしょうかね。

ポジションとしては上がったんだから、総額は減らす方向ですし、バイオなどこれまで振るわなかった銘柄を見直していこうと考えています。今は焦って動くよりも、しっかり見極めて行動した方が良い時期ですね。