今週の見方(5月26日)
結局、エヌビディアの「一強」という市場は、やがて同社の動きは止まるのであろうが、産業としてその関連株が一定の時間を経て反発し始める、または同社の影響から株価を維持、上値追いして、関連株が上昇という相場が今の市場の望みだろう。しかし、根本は景気がどういう方向に向うべきであり、特殊な儲かる企業だけが上がる市場は過去からあまり良くはない。
米国の経済数値は確かに高い部分もあるが、企業業績となると一部を除けば総体的に重く、今後も現状の速度で物価が上がっていくならば、消費は止まり破綻していく企業も多くなりそうである。その考え方は物価上昇の中味の悪さで、自動車保険や家賃などの上昇が多く、そうなってきた場合、賃金頭打ちである事から必需費用が上がり、徐々に生活を圧迫しはじめ、消費に悪影響が出ると思われる。実際、企業間の物価も良くはないから、成長性が低いディフェンシブ株は買い難く、週末も株価は下がっている。
要するに、日本株も1〜3月GDPの景気は良くなかったが、それは当たり前として考えられた。そして、税金還流から来る資金圧力もあるから消費は上がると考えられている。しかし、実際に一般の労働者は70%近くが賃金アップになっても手取りは増加しないというし、これに円安から来るエネルギー関連の上昇やネット接続料などの出遅れたサービス業の値上げが続くとなると、日銀は金利を上げられないし、そういう展開になるならば消費は伸びないという事になる。
強い市場ならばここが克服されるべきであるし、テック株だけで往来相場を続けられないと思う。従って、必然的なのはインバウンドを代表とする現在下がっている株式の考え方であり、上がるのはテック株で良いとしても、下がる内需系好業績株が止まらなくてはならない。まして、グロース株のここ最近の下落は目に余る物がある。つまり、内容の良い物が上がらないならまだしも、一斉に下がる市場ほど怖い物はない。現状の業績に関係なく、換金しようとしているのであり、そうした細部を見ながら中心株と付き合っていかなくてはならない。
買う物はそれでも良いが「それしか無い」という物色ではなく、「他が買えない」という物色タイプならば、この上げは短命になってしまうし、他への波及もない。今週はリバランスも多いし複雑な需給になりやすい。そういう時に下がり過ぎたグロース株や内需型好業績株が買われないと、6月からの新しい動きは良くないと思う。決算発表も終わってここからは市場の中に新しい芽が出始めるべきであり、その芽が出ないというならばその畑は死んでしまったと思って良いだろう。