今日の見方【8月14日】
東京市場に関わらず、米国市場もそうなんですが、ここまでボラティリティが高いと、高い値段は買い難いという流れになってしまい、運用者は動かす金額が絞られるという事になります。しかし、先週の動きから狙われているのは大型株からという流れで、参加資金が少ないのに大型株式を買うんですから、市場に持続力がないのは仕方が無いという事なんです。先のセリングクライマックス後で、板が薄く値動きが大きくなりがちな中、不景気で売られたはずなのに、米金利上昇(経済数値が良いという見方が広まっています)の考え方から来る二段の押しや、日銀主な意見の中での「最低でも1%」という文言が悪材料。ただ、内田日銀副総裁が昨日「状況が変わった」と翻意を示した。そこで今週は少し強気が増加となった模様です。しかし、根本は何も変わってはいないというのは忘れないことです。
ただ、市場のメッセージが日銀に届いたとしたら良かったと思います。植田さんをはじめとした日銀の集団は「岸田が任命」と騒いでいる人は多いのですが、聞く耳は持っていると思われます。ただし、早くても 9/19-20 の決定会合であるから、標準的には10月末の経済物価展望レポートまでは機関決定はなされないでしょう。10月末頃まで値固めとなると思います。特に、米景気や物価は今週から目線が上がると思うから尚更です。
先週話をした事ですが、米雇用統計では天候要因で働けなかった43.6万人が主因で悪化したという見方が固まってきたし、それに対して先週の「不景気入り」という言葉も下火になってきて、「確認事項」に格下げになっています。そのときに騒いだ人は不景気に入るかどうかが「当たった外れた」ではなく、それらの解釈から来る「株価が下がった」ことが当たったので、もうどうでも良いことなのです。次のチャンスは売り方をうかがっていると考えるべきで、下がり始めたら再び辛辣な予想を言い始めるのが彼らで、メディアも協力的です。
この雇用統計の数字は2日前のFOMCでもほぼ判っていたはずで、前日の雇用統計発表前の下馬評で発表された数字は、結果とさほど大差ないことも私のレポートでは指摘しました。それでも7月利下げを見送っており、この事で市場との呼吸がズレはじめたと自分は見ています。日銀も私と同様の結論だと判断していたと思うんですよね。
それでも下げなかったのだから、9月に50ベーシス利下げ期待は過大だろうと考えています。なお、FOMCで報告された米銀貸出態度は緩和しており、不景気ではなく「安定した経済」という見方を自分は変えてはいないです。物価的には安定すると見ています。しかし、この状況で0.25%の利下げとなったときに、市場がどう扱うのかがポイントでしょう。ここまで下落したことから、メディアの用事も済んだことで、売り煽りはないかもしれない。しかし、市場が0.5%を予想しすぎて、パウエル氏の尺度である0.25%という数字を出したときの反応も考えておくべきでしょう。前回見送ったのならば、逆に0.5%下げるという事がかえって辻褄が合わない。そういう行為ならばパウエル氏はブレはじめたと言うべきだろう。もしくは、相当悪い経済数値となります。
今日はそうした市場の本質的な気持ちを忘れてしまう「ポイントの日」で、上がるならば一気に来ないと厳しくなると考えています。