今週の見方【9月1日】

先週末の東京株式市場は、29日の時間外取引に発表されたコンピューター大手デル・テクノロジーズ<DELL>の決算を好感していた。また、鉱工業生産が、電気・情報通信機械、生産用機械、電子部品・デバイス牽引で非常にしぶとく動いていた。物色としたら当たり前のことなのだろうが、NY市場もここに来てエヌビディアの評価が関連企業の水準アップに向った事から、市場全体に少し買い意欲が出てきたように思う。38500円という大きな商いの壁も突き破ったために、週明けの日本株は期待値が高い。

投資主体別動向による信託銀行の5週連続の買い越しが判明した事も底堅さの要因であった。株価が下がるとウエイト修正目的で株買いに回る傾向がある。この水準からは入りにくいと思われたが、継続されたという安心感が市場に出て来ていた。しかし、基本的には円高傾向から来る企業収益は企業の予想収益ペース以上の期待値はなく、景気との勝負になっている。その景気が米国では好調維持ではあろうが、基本的にはソフトランディングで、大きな伸びは全体的には望めないという考えに変わりはない。

現実は執拗な先物買いが連続して入って来るし、信託の買いも続くとなれば、少し見方を変えるべきかと思う投資家は多く、過去から「理由の無い強さ」を経験した日本人は、自分達で計れない流れがあると、少し神格化したような株価の見方がある。「それでもの買い」という言葉を良く使うが、今回はそのパターンだと思っている。上がっていない手持ちも多いから上がることに不満はない。

そうなったら、一定のリズムやパターンを考えて短期的に確認しながら見ていきたい。メジャーSQ週や前月末週が買越しの天底になりやすい傾向がある。つまり、いかにも上がりそうではあるが、今週はそこらに注意して動かなくてはならないと思う。月末までにウエイト修正が終わっている可能性があると、いきなり週初から板の風景が変わっているかもしれない。

そして、気になるのは騰落レシオが120越えと水準が高くなっている。今週もしっかりなら140台乗せになる。その後に株価が上がるパターンをいう人も多いが、一時的な調整の場合もあるのは事実である。確率的に難しい9月であるから、ここからは強いと思っても常に確認しながら行かないといけない。結論すると、その程度の「強さ」であが、幅は別物という厄介な市場である。8月はセクター別で見ると、金融株の下落と精密機械株の上昇であった。金利が高くなって、円高になっての物色としては理由は分からないでも無いが、この環境でこの物色というのはあまり経験に無い。

つまり、選択者の腹で決まるタイプの相場であるから、自分が一番嫌いな「動く物へと向う投資」が有効で、駄目ならすぐ逃げるような売買になる。意外にニュースには敏感な市場だけに、中国でのiPhone販売台数の回復やデータセンターの好調など、狙いがまた変わってこの市場を保つならば、それはそれで良いことだと思う。