2月9日:今週の市場の見方
今週の見方
「7日のNY市場は下落。ダウ平均は444.23ドル安の44,303.40ドル、ナスダックは268.59ポイント安の19,523.40で取引を終了した。シカゴCMEは大阪日中比465円安の38,375円。」
週末の各レポートは、先週までの関税問題には触れているものの、NY市場の下落要因となった「互恵関税」についての記述は少ない。おそらく、火曜日あたりから新聞やレポートで詳しい解説が出てくるだろう。ただ、言葉として「互恵関税」と出てきても、トランプ氏の意図を正しく理解する必要がある。今回の話は、輸入関税をかけている国に対し、米国も同率の関税をかけるというもの。日本の場合、農産物には関税があるが、工業品の関税はほぼ撤廃されているため、直接的な影響は限定的と考えられる。
市場の現状と課題
互恵関税の歴史を振り返ると、1930年頃に関税を掛け合う国が増えたことで、対抗措置として導入されたり、過度な関税競争を抑える目的で調整されたことがあったと記憶している。今回の米国の関税問題の本質は、国内の労働問題にある。コスト高による価格上昇が続く中、安価な海外製品を選ぶ消費者が増え、結果的に貿易赤字が拡大している。
特に人件費の高騰が続く状況で、インフレが進む米国にとって、不法移民の締め出しは新たな課題を生む。製造業の競争力が鈍化し、農業従事者の確保も難しくなる。そのため、関税を通じて経済のバランスを調整しようというのがトランプ流の戦略なのだろう。しかし、それが本当に最適解なのかは判断が難しいところだ。
今後の展望
石破総理の訪米は、初対面としては悪くなかったと思う。元気よく話すタイプではないが、「怖い人」発言はウィットが効いていた。ただ、日産と日鉄を言い間違えたのはどうかと思うが…。今週は中国との会談問題も控えており、それらが片付いた後に「10%関税問題」が本格化してくるだろう。今回の税制に関する発言は、今後の「深刻感」を醸成するための布石とも考えられる。逆に、ここから急に緊張感が緩む方が怖い。
一方で、メタ・プラットフォームズ(旧Facebook)の株価は上昇している。アマゾンなどが下がる中、メタは堅調な動きを見せており、市場の動きが一枚岩ではないことを示している。
今回の市場の反応を見ると、2月3日のメキシコ・カナダへの課税発表時に下がらなかった銘柄が、今後も強く残る可能性がある。手っ取り早く今週の戦略を考えるなら、前回の課税発表の際に影響を受けなかった銘柄を洗い出しておくのが得策だろう。
最後に
市場は変動が激しく、ニュースの取り上げ方によって心理的な影響を受けやすい。こうした状況下では、冷静に事実を見極めることが重要だ。我々にできるのは、感情に流されず、市場の動きを客観的に分析し、柔軟に対応することだろう。