今週の見方【6月16日】

植田日銀総裁の話しを聞いて「出来たら今回から本格的に」という流れが見えたが、今回の国土交通省の自動車メーカー向けの処置から、景気に暗雲が立ちこめた場面だけに、7月に先延ばししたのかというイメージが出来た。実際に金利は動かさなくても日銀資産のバランスシートを正常化させる作業を行なうことで、逆イーグルになった状況を本来の形に戻すならば徐々に長期金利は上がって行く格好になる。

それを見越して外資系は売っていたのか、「無風」という名の政策変更でいきなり反転。「?」という気がしたが、再び引け後から夜間先物が大きく値を壊していった流れは、金融政策と実体経済の暗雲をマッチさせた答えになったのだろう。ここまでは順調で乗り切れそうな日銀であったが、税金還付とベアのアップ、ボーナス支給という、GDPが上がるタイミングは国土交通省によってぶっ飛んだという気がする。

確かに、正しいことには間違いはないだろうが、最近多い政治政党の無茶な発言や恫喝をみても、一定の考え方があれば何でも良いのかという気がするのであり、「その前に」とか「影響」などは考えないのかと思う。この日経平均も正しいような正しくないような、判断が分かり難くなっている。GDPは下がっても儲ける企業はあるが、政府は政策投資に口出すために余計な売りが出てきて、普通に儲かる企業まで下がる状況。

まさに四面楚歌の状況で植田総裁もきついが、日経平均も良く保っていると思う。ただ、Liveでも話したがこの場面から早く上に上がって回転を効かさないと、実情からアナリストコンセンサス以下の決算発表が出始める頃であるし、外資にとっては売り切れなかった裁定残の重みが現状は上値に効いているので、バカンス時期に下まで売却に来る事がある。現状の日本株を取り巻く環境は悪化しはじめているだけに気になる部分だと思う。

今週、何もなかったように反転してくるならば良いが、この場面から上がれないようならば、外資系も秋まで日本株は本格的に動かないと思えるし、内需物で好業績企業や自社株買い企業を見てはいるが、先ずは2月決算物で良いとされているタイプがどうなのかだと自分は思っている。市場の個別は先週末までは意外に悪くはなく、ソフトバンクも1万円台で引けている。他にも休んでいた個別の復活や新値を取った銘柄も多い。

弱いとは決めつけないが、高いところは買わない市場だと思う。安い位置に来た日経平均の反発時に、リバウンドではなく揉み合っている株式の方が動きが良かったと思う。