12月17日:今日の市場の見方
市場の中味が非常に難解で、弱いと感じたら3000円クラスは平気であり得るし、間違えたら5000円ぐらい下がるイメージも持っておいた方が良いと思います。年末というのは得てして変な割り切りが出やすく、税金対策の売りが思わぬ下値を作ってくることが多いんですよね。
ただ、企業の中身を見ると良好なところは相当多いです。関税や賃金アップを警戒して、先に値上げを進めた企業も多く、結果として意外な収益になっているケースも目立ちます。今回のインフレは、いわゆるコストプッシュ型というよりも、利益確保型の値上げに近いと思っていて、バブル期のように賃金上昇を前提に、同時に収益を上げていく構図に似ている部分があります。物価が上がる理由自体が、過去とは少し違っていると見た方が良いでしょう。
例えば、源太カレンダーの冊子も、発売時に予約を先に取って印刷していますが、紙代は倍近くになっていますし、包装や送付、印刷コストも相当上がりました。その半分くらいを値上げにしても、正直、収益はギリギリなんですよね。労力や手間を考えたら、数量を確定させた作り方でないととても成り立ちません。
だから、収益率を上げる販売というのは、単に物価上昇分を転嫁するだけではなく、給与アップをどう優先するかという話になります。自分が労働組合をやっていた頃も、給与アップ+物価上昇率分の収益確保、という計算式で企業は動いていました。
それが川下に行くほどコストは倍化していき、値上げできない業種や、極力利益を削って勝負する企業も出てきます。だからこそ、生産の上流にいる企業の考え方が非常に重要になってきますし、その読みがうまく当たった企業は、今期かなり良い数字になっています。昨日の相場でも、そういう企業は下げの中で意外と強かったですよね。
「失われた30年」と言われますが、あれは要するに、いかに安く作るかを追求した時代だったわけで、今は物価上昇率以上の収益をどう作るか、というフェーズに入っています。値上げが収益を生み、その結果また物価が上がるという循環です。消費が重いと言われますが、現状の日本はそこまで悪い消費環境ではないと思いますし、高級品もインバウンド分を差し引いても、意外と皆買っていますよね。
まあ、そういう世の中ですから、短期的な金儲けを狙った上げ下げが横行しています。ただ、普通に考えれば、ここからさらに下がるなら、日銀の利上げ以降は選別色が強まりやすく、結果として、下げたAI関連が収益改善で見直される、という流れになる可能性もあります。どうも、今回の下げは作られた印象が強くて、そこが引っ掛かるところなんですよね。
