11月14日:今日の市場の見方
ここではテック株の突っ込み買いがどうしても目につくんですが、自分としては「売られてきた物」をしっかり見ていこうと思うんですよね。ちょうど昨日、ZOOMで講演をしたんですが、まず皆さんは“上がった要因”を強く意識していたようで、その部分に対する自分の不安も話しました。設備投資というのは簡単に言うと、「その投資分に見合う利益が本当に積み上がるのか」という話で、テック企業のデータセンター投資などは、果たして利益がそこまでついてくるのか――そこが最大のポイントなんですよね。
ですから、そこを見極めるまでは、買われすぎた部分の調整は当然あるべきだと判断していたんですが、いきなりのNYの急落はちょっと困ったものです。結果、市場では“何もしないで上がった物をただ放置している”人が増えてしまいがちですが、こういう局面はきっちり利益を出しておかないと、調整が深くなった時に「元の木阿弥」なんてこともあり得ます。
とはいえ、現状ではそこまで深刻に考えなくても良い面もあります。決算が悪かったキオクシアでさえ、利益水準は相当高いわけで、買った意義は間違っていなかったと思います。ただ、テック株全体のPERは“50年後の利益まで買っている”ような水準の物もあるから、計画通りの利益では株価は伸びず、エヌビディアのように“毎年数倍の稼ぎ”を続けないと、今の株価水準は正当化されないという側面もあります。そうした中、電線株は最後まで強かったですよね。これはテック株が儲かるかどうかに関係なく、データセンターの需要そのものは変わらないという見方からで、決算も良かったから買われ続けたわけです。
ただし、データセンター投資の「過剰感」が話題になっている以上、「決算が良くても、ずっと上がり続けるわけではない」という見方も必要だと思うんですよ。つまり、今回の下落が“テック過熱の精算”なのか、“NYの政府封鎖関連で買われていた部分の調整”なのか――ここをしっかり見極めるべきです。その上で、上がっていない銘柄が「どこで止まるのか」から入っていった方が、景色がよく見えるはずなんですよね。
まあ、スタートはETF売りから来る“全面調整”になりますが、金融株や上がっていない素材株、そしてテックの次としてのAI産業機械の動きなどを、丁寧に見ておくべきなんです。テック株のタイミングだけを追っていると、今は特に間違いやすいと思いますよね。
