12月28日:今週の市場の見方

今週の見方

今年も一年ありがとうございました。振り返ると、本当に難しい一年だったと思います。
資金量が多く、長期で銘柄数を分散して持てた方は比較的結果が出やすかった一方で、回転売買や短期で利益を積み上げようとした方にとっては、相当ストレスの溜まる相場だったのではないでしょうか。

金融相場とトランプ関税という二つの要因が、需給を通じて何度も市場の流れを変えました。材料が出尽くしたと思われた局面でも、春先の関税をきっかけに下落が行き過ぎたり、10月には半導体の良さが分かっていながらも、設備投資負担が重いという指摘を無視する形で買い進まれたりと、理解しづらい動きが目立ちました。セミプロや資金量の多い投資家ほど、先物売りなどで対応せざるを得ず、結果的に傷ついた場面も多かった一年だったと思います。

市場の現状と課題

来年を見据えると、テック系で今年大きく上昇した銘柄は、すでに収益を先取りしている面が強く、設備投資に資金がかさむことも含めて、当面は収益率を見ながら慎重に評価される展開になりやすいと感じています。

一方で、フィジカルAIのような分野は政府の後押しもあり、物色の視点が変わることで、工作機械や自動車関連など、これまでとは違う評価軸に入ってくる可能性があります。過去に話題となった「空飛ぶクルマ」のようなテーマが、蒸し返される形で再び注目される展開も、完全には否定できないでしょう。

今後の展望

その中で注目したいのが、特殊建設や土木といった分野です。ここ数年は「財政規律」を重視する流れの中で、国土強靭化が十分に進まず、大手ゼネコンも都市開発や再開発に収益を依存する形が続いていました。その結果、地震などの天災に対して脆弱な構造が残ったままだったとも言えます。

最終的には税を回収してからばらまくという後処理型の支援に向かってきた印象が強く、効率的とは言いにくい部分もありました。高市首相が掲げる「生きた財政」という考え方は、財界や国会の一部からは短命と見られがちですが、この機会を逃せば、日本は再び長期停滞に戻る可能性もあると筆者は感じています。

最後に

現状を踏まえると、解散を含めた政治的な動きが出てくる可能性も否定できません。仮にそうなったとしても、主力株がすぐに大きく伸びなくても、金利上昇を語れる程度の景気水準に向かう可能性はあります。

来年も今年同様、乱高下は避けられないかもしれませんが、その中で底堅さを見せる銘柄は増えてくるでしょう。増配企業やTOB、MBOといった動きも引き続き増えると考えています。

ある意味では、「物言う株主」の存在が、個人投資家にとってもヒントになる場面が増えるかもしれません。親子上場問題を含めて考えれば、老舗企業や子会社の価値見直しは、意外と分かりやすいテーマになる可能性もあります。今年同様、派手さはなくとも、考えながら向き合う一年になりそうですね。

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