10月18日:今週の市場の見方
今週の見方
週末のナスダック急落を受け、いったん落ち着きかけていた日経平均は、夜間先物で63,630円まで大幅安となった。しかし、米国市場のコメントは意外にも冷静であった。確かに、アンソロピックのIPO想定評価額が約2兆ドルから約1.5兆ドルへ引き下げられたとの報道を受け、AI関連株の投資家センチメントが低迷したことは嫌気された。一方で、原油高騰に対してNYダウは上値が重かったものの、明確な売り要因とまでは言えず、AI関連については日経新聞が指摘するように「潮目が変わった」と言われても仕方のない状況であった。
ただ、ほんの1週間前には半導体需給への期待が語られており、現時点でも半導体需要が急変したという話は聞かれていない。問題の核心はコアウィーブのデータセンター運用の苦境であり、これは筆者が3月から指摘してきたように、データセンターの建設費・運用費に対して採算が取れるのかという構造的な問題である。これが金利上昇によって資金調達難へとつながれば、経営そのものが不安定化する。CDS価格が上昇するのは当然の流れと言える。
市場の現状と課題
しかし、こうした懸念はこれまで何度も浮上しては消えてきた。今回も週末までは、財務基盤のしっかりした企業が手掛けるデータセンター債券は堅調であった。今回のデフォルト懸念にはやや乱暴な側面があり、もともとは「金利上昇で債券による調達が難しい」という程度の話だったものが、当初から問題視されていた採算性に焦点が移り、需要の変化を理由に売られた格好だ。
しかし、資金面の不安は、エヌビディアが支援していることを踏まえれば、メディアが騒ぐほど深刻とは感じていない。採算面では金利の低い国での調達も可能であり、当初から日本で十分な資金調達を行った後の段階が危険だと言われてきたが、現状ではようやくCMが広がり始めた程度である。
後半の運用が始まり、センターコアとしてエヌビディアの新商品関連を組み込む設定が完了した段階だったのだろう。その兆しは、6146ディスコの好決算が翌日売り気配となった時点に表れており、すでに仕込みは終わっていたと思われる。その後、各証券会社が個別株の目標株価を引き上げ、日経平均の年内予測も相次いで上方修正された。まさに「天井らしい天井」であり、株価が修正されるまで時間はかからなかった。にもかかわらず強気は根強く、最終的にはACSLやTSMCの好決算でも半導体株が下落し、売りが売りを呼ぶ展開となった。週末のブログでも書いたように、市場の「重さ」が強く伝わっていた。
今後の展望
それでも先週末には切り返しが見られ、投資家マインドは落ち着きつつある。NY市場でも関係の薄い銘柄は反転しており、早ければ週明けからの切り返しも十分あり得る。買い一巡後の下落と、好材料のように見える悪材料(好決算売り)が一巡し、株価が大きく下がった局面では、中間決算で数字の良い銘柄が反転しやすい。半導体需要に大きな変化はなく、資金調達も米国らしく最終的には他国へ負担を回す構造であり、まだ道半ばといったところだ。ギリシャショックの頃は「リーマンショック」と言われたが、実際には各国の大手銀行や個人が被った“肩代わり損”であった。
よって、目先ではマグ7から始まった資金が為替へ、金や銅へ、原油へ、そしてSOX指数へと流れ、行き場を失って、再び懸念が蒸し返されている状況だと考える。現状で露骨に新たな問題が出てきたとは思わず、懸念の多くは3月から指摘されてきた内容と変わっていない。データセンターは利用が定着した段階で大幅値上げを行うのが常であり、現時点で耳に届く範囲では、「潮目が変わった」というより「調達や運用の形が変わる」という段階だと見ている。
最後に
本当に怖いのは、既存のデータセンターはまだ良いとしても、今後新設されるセンターでは、技術革新が急速に進む中で、投資回収前にメンテナンス負担や需要減少が生じる可能性がある点だ。容量が増え続ければ、どこかで“あぶれる”センターが出る。半導体が普及し始めた頃から、こうした問題は繰り返し指摘されてきた。ゆえに「市況産業」と呼ばれるのである。




